幕末咲乱華
【屯所】

沖田「あ゛ー、もう!!血がベットリ着いちゃって、なかなか匂いが落ちませんよ〜!」



ひーん!と泣き真似をしながら、顔やら手やら足やらを井戸から水を汲み上げ、一生懸命に布でゴシゴシと拭った。



華「しょうがないですよ。だって、首を切ればそこには脳へと血を沢山送るための太い血管があるんですもん。
それを斬っちゃえば、1丈(いちじょう:3meter)は軽く吹き上がりますよ。」


原田「華……お前、良く知ってんなぁ!医者になれるんじゃね?!!」


華「まさかぁ〜!でも、医学は少し心得てますよ?」



¨病気になった時は任せて下さい!¨という華の顔が変だった様で(鼻の穴が大きくなった…とか)、沖田・原田は爆笑していた。


が、反対に山南は縁側に座り、三日月の光で反射している眼鏡を顔から外し、それを手で持って黙って見つめていた。



沖田「大丈夫ですか?山南さん。」



ちょっと心配になり、屈伸して山南の顔を覗き込む。



山南「……え?あ、あはは!大丈夫だよ。心配かけてしまって、すまないね?」



ポンポンと沖田の頭を軽く叩く。



沖田「なら良かったです♪」



ニシシ、と笑いながら又、血の匂いを拭いに井戸の元へと戻った。



華「‥…山南さん、新見さんが切腹する間際に言った言葉を気にしているんでしょうね?」





¨あんたは俺と似ている様な気がしてならない。こうやってあんたも死ぬんだろうなぁ〜……¨





原田「てかさぁ、新見と山南さんは全然似てねェのによォ、なんであんな事を野郎は言ったんだ?」



3人して頭に¨?¨を浮かべ考え込む。



そして結果、答えは1つも出なかったが、華は『新見は山南の生涯が見えていたのかもしれない……』と思った。
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