幕末咲乱華
一方華はというと、1人寂しく暖かい日の光を受けながら刀の手入れをしていた。



華「ちぇっ。土方さん、俺だけ呼んでくれないしな。イジメだよ、イジメ。良い年してイジメだなんて恥ずかしいよねぇ。母ちゃん泣くよ…。
みんなで何の話をしてるんだろ……?」



1人コント(?)をしながら、チラッと庭を挟んだ向かいの近藤の部屋へ目を向けた。

が、誰も出て来る気配がなかったので、大きな溜め息を着いた。



華「ハンモック作って寝ていたいゼェ……」



そんな事を呟きながら、黙々と手入れを施していた。











暫くすると手入れも終わり、ゆっくり背伸びをした。



華『さぁて、そろそろ始めますかね。』



そして、ゴキゴキ首を鳴らし欠伸もしながら、部屋へと戻って行った。





ーーー9月18日、芹沢の暗殺が実行される。

何としてでもこの手で芹沢を粛清すると決めた。

失敗は許されない。ーーー





ふと足を止め、空を見上げた。





華「爺ちゃんごめん。人を殺すために俺に剣道を教えてくれたんじゃないのに……。
だけどな、敵(かたき)は取らねぇと気が済まないんだ。俺が俺じゃいられなくなっちまう。そんな恐怖が体中を駆け巡るんだ。」



ふっと口元を緩め、



華「説教は、そっちに行った時にしてくれよな!……っつか、もう汚れっちまってるけどな?」




目を瞑り、ギュッと力強く鞘を握った。
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