満月の夜に
「お月様はさ、注目を浴びる昼間、



 みんなの前には出られないんだよ。



 知ってる?

お月様って、自分で光ってないってこと」








 「そうなの?」








「お月様は、太陽が放つ光を反射して、

光ってるように見えるんだよ?

つまりは一人では生きていけないってこと。」









 ヒロが、感心したようにうなずいている。










「でも、お月様は誰が自分を

光らせてるかわからない。


太陽は、お月様に出会う前に沈んじゃうから。




でね、夜の空に悠々と輝くお月様の周りには、


小さな星の友達がいるの。でも決して



友達になる事はない・・・

自分の存在を考えすぎて、


ほかの存在に気付かないから。」






 あたしたちは、空を見上げた。




          
 空には、一人で悲しく輝く満月・・・





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