4月1日の告白
初彼は君じゃなかった
「失礼します‥」
呟いて保健室に入り、辺りを見回す。
先生がおらず、しんと静まり返った保健室には薬の匂いがぷんと漂っていた。
ため息をついてベッドに腰を下ろす。
「アタシ‥もう駄目だ」
1人でそう言った瞬間、さっきまで無かった虚しさがどっと押し寄せて
ポロポロと涙が頬を伝った。
―アタシが…躊躇してばっかりだからいけないんだ。
告白すれば良かったんだ‥
そうすれば、吹っ切ることも出来た‥
アタシは泣き続ける。
『どうしたんだよ。』
後ろから声がして、涙を隠しながら振り向く。
―正がドアのところに立っていた。
「‥‥‥っ‥」
泣いていたばかりのアタシは喋ることが出来ない。
『泣いてたの分かってますから。』
正はアタシの前まで来る。
「何でもない‥ッてか、何でアンタここに来たの‥ッ」
しゃくり上げながら必死に喋るアタシの瞳を真っ直ぐに見つめ、
正はさらっと言った。
『明日香が廊下通ってたから、どーせ仮病使ってサボるんだろなって。俺も一緒にサボってやるかなみたいな?』
「‥‥ッは‥ばっかじゃッ‥ないの‥」
『うん。俺バカだし』
「‥‥‥‥ッ」
正の言葉には、
優しさが見え隠れしていた。
何かを察して来てくれたのかもしれない。
アタシはまた泣き出した。
「‥‥ッ」
『泣くな!!何があったか知らねーけど‥俺が居るじゃん』
そう言うと正は、アタシを抱きしめた。
小柄なアタシは、大きな正の体に収まる。
『お前チビ』
「うっさい!」
実はその時、心臓がやぶれそうなくらいドキドキしていた。