4月1日の告白



アタシはちびちびと嫌いなにんじんサラダをつまみながら、


“彼氏が出来た”

という実感をつかもうとしていた。


今までずっと憧れていたこと



でも、それはこんなに簡単で


あっけなくて



そして‥――




『ねぇ明日香!アンタはどーなの?』


「えっ」




ぼーっとしていた所を肘でつつかれ、

鳩が豆鉄砲くらったような表情で周りを見回す。



みんなの視線がアタシに集中していた。




『アンタさぁ、好きな人とか未だに居ないわけ!?』



アタシはそんな友達の発言に戸惑いながら頷く。








正のことどころか、敬太のことでさえ誰も知らない。


みんなには一度も恋をしたことが無いと言っているけれど、

そんな人間、実際この世に居るはずがない。




アタシだってこっそりと敬太に片思いしてきた。



正とも―‥

付き合い始めた。




『有り得ない‥そんなことじゃいつまで経っても彼氏出来ないよ?』




その友達はため息をつき、周りの子は苦笑しながらそれを見ていた。




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