4月1日の告白


アタシは友達を待っているフリをして正を待った。


でも、よく考えたら正は友達と帰る可能性がある。



だからそのときは潔く諦めよう…



そのときをじっと待つアタシ。



アタシはきっと、一緒に帰ることで正の彼女だという実感を持って、


完全に頭の中から敬太を消し去りたかったのかもしれない…




『『さよならー!』』




やがて正のクラスからどっと生徒が溢れ出てきた。

アタシはその中から正の姿を探す。



しかし、一通り人間が出ていっても正は出てこなかった。



「あれぇ?」


不思議に思って教室を覗き込むと、正は居ない。




―なんで??



目をハテナにしてきょろきょろするアタシに、先生が声を掛ける。



『どうしたの?』


「あ、いや…ちょっと友達を待ってるんです」


『あら、そうなの??もう女の子はみんな出てったわよ』



嘘が下手なアタシは墓穴を掘ってしまった。



『もしかして河野くん?』


「えっと…ちょっと委員会のことで聞きたいことがありまして



やっぱアタシ嘘が下手。



こんなんだからエイプリルフールで、いつも敬太を騙せないんだよね。
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