4月1日の告白
初めてのキス
それから数日経って、11月16日。
もう風はめっきり冷たく、
ブレザーだけでは寒さをしのげなくなっている。
そんな中、パスケースを忘れたアタシは徒歩で登校していた。
「さむッ」
冷え性のアタシの手のひらは、まるで氷みたい。
はぁーと息をかけて温めながら歩いていたら、
後ろからポンと肩を誰かに叩かれた。
『久しぶり♪』
かなり久々に聞いたような気がしたその声に、
アタシの顔はパァッと明るくなる。
「正復活したんだ!!」
『うん。まじ頭痛かったー。リレンザとか上手く吸えねぇし』
正は苦笑しながらアタシの隣に並ぶ。
正はインフルエンザのために5日間まるまる休んでいた。
普段は体の強い正だけど、部活の疲れで抵抗力が弱っていたらしい。
「サッカー部はキャプテン居なくて大変だったんじゃない?」
歩きながら聞く。
『さぁなー‥副キャプの敬太もいねぇし』
ドキッ
敬太の名前が出てきた瞬間、顔が熱くなる。
でも一生懸命平静を装った。
「アイツ謹慎受けてんでしょ。何やってんだかって感じだよねー‥」
『あ、お前もう知ってたのか?』
「うん‥噂みたいなもので」
『へー‥‥』
正は意味深に頷きながら遠くを見つめるように眺める。