恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
新しいケータイをGetするまでPCでやりとりしたメールのほうはちゃんと消去してたんだけど、インターネットの履歴のほうまでは頭が回らなかった。
「まぁ、高校生のこづかい程度でホストクラブ通いしてるとは思わんが、それにしても、お前、あーいう店に興味があるのか?」
「ち、ち、ち、違うよっ」
ここまで言葉がラップ調になってると、“今からウソをつきますよ”って前フリしてるみたいだけど……。
「が、が、学校の友達に歌舞伎町のホストクラブに“M嶋Hロ”にソックリの超イケメンがいるって聞いて……そ、それで興味本位に見ちゃっただけだよ」
「そっか、そういうことか」
日頃、親の言うことをなんでも「ハイ、ハイ」って聞いてるあたしだから、まさかウソをついてるとは思わなかったみたいな父。
「いくら外見がよくても、ホストなんて所詮は堅気(かたぎ)の仕事じゃない。そういう世界の男に興味を持つのは、父さん、どうかと思うぞ」
「うん、分かってる。あたしも最初は全然興味なかったんだけど、友達があんまりしつこく何度も何度も、M嶋Hロにソックリのホストがいる、って言うから、あたしもつい」
またあたしは父にウソをついた。