恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
あたしは新宿・歌舞伎町にある『BAR 禁断ノ果実』へと向かった。

そこは九州・M県のH知事にソックリなマンゴーママのオカマバーだ。


「ママ、オハヨ♪」

バーの中に入ると、無精ひげをはやしたマンゴーママが店内に掃除機をかけているところだった。

「アーラ、誰かと思ったらイチゴじゃない。いらっしゃァ~い♪ なんにするゥ? とりあえず、ビール?」

「……って、あたし、まだ高校生だよ」

「だからなによォ。アタシは高校生のときから焼酎グビグビ飲んでたわよォ」

「あたしはね、ママと違って不良じゃないんですぅっ」

「ふんっ。高校生の分際で歌舞伎町のオカマバーに来てる時点で、アンタだって、そーとーの不良少女じゃないのォ」

「そっか。言われてみれば、そーだね」

ママに言われてはじめて気がついた。


「それで今日はなんの用かしらァ? アタシに抱かれにきたんなら諦めなさい。アタシ、オンナを抱く趣味はないからァ」

「ママじゃなくてミュウトに会いに来たの」

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