恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

いつもはあたしのはうからハナシをふって、ミュウトはソレに対して、ひと言ふた言コメントを返すだけっていうのがパターンだった。

だからミュウトのほうからハナシをしてくれるなんて、ホント、珍しいことだった。


「ジャーン♪」

自分の声で効果音を入れて、あたしにケータイの写メを見せてくれる彼。

「あっ、このねこたん、あのときの……」

ケータイの画面の中には、はじめてミュウトとコノ公園で出逢った夜、愛媛みかんの箱に入れられて捨てられていた茶トラのこねこの姿があった。

「茶トラのねこの“里親”から送られてきた写メだ」

「へぇ、あのコを飼ってくれるヒトが見つかったんだァ♪」

もとは捨てねこだったのに、今じゃ部屋の中で大事に飼ってもらってるみたいで、鈴の付いたキレイな首輪までしてもらっている。

「小学2年生の男の子の友達になった」

そう言って、別の写メを見せてくれるミュウト。

その写メには男のコとなかよく並んで、タオルケットの上でお昼寝している茶トラの幸せそうな寝顔があった。


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