恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
最終章「キセキの起こし方」
お盆休みを利用して家族旅行で名古屋に来たあたしは『猫カフェ・ミュウ』を訪ねたんだけど、そこにはお店の影も形もなかった。
「せっかく来たのに残念だったな、一子。後ろ髪ひかれる思いだろうが、いつまでもここにいたってしかたがない。そろそろ場所を移動しようか?」
運転席の父が、後部座席のあたしを振り返って言う。
「そうね。まだお昼には少し早いけど、ごはんでも食べに行きましょうよ。名古屋は美味しいものがイロイロあるから、母さん楽しみだわぁ」
助手席の母が、落胆したあたしを気遣うようなやさしい微笑みで言う。
「………」
だけど、ふてくされて返事をしないあたし。
「じゃあ、行くからな」
そう言ってクルマを発進させる父。
ところが……、
走り出してから10数メートルと進まないうちに、キキィーッと急ブレーキをかける父。
「な、なにっ! どうしたのっ?!」
「せっかく来たのに残念だったな、一子。後ろ髪ひかれる思いだろうが、いつまでもここにいたってしかたがない。そろそろ場所を移動しようか?」
運転席の父が、後部座席のあたしを振り返って言う。
「そうね。まだお昼には少し早いけど、ごはんでも食べに行きましょうよ。名古屋は美味しいものがイロイロあるから、母さん楽しみだわぁ」
助手席の母が、落胆したあたしを気遣うようなやさしい微笑みで言う。
「………」
だけど、ふてくされて返事をしないあたし。
「じゃあ、行くからな」
そう言ってクルマを発進させる父。
ところが……、
走り出してから10数メートルと進まないうちに、キキィーッと急ブレーキをかける父。
「な、なにっ! どうしたのっ?!」