恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
すると……、


みゃあ……


イターーーっ!


全身真っ黒くろすけだから見つけにくかったけど、クルマのタイヤの影に隠れていた小っちゃな小っちゃなねこたんが、ひょっこりとその愛くるしい姿を現したんだ!!


見たところひかれたふうには見えない。

「無事で、よかったァ♪」

人目も、そして服が汚れるのも気にしないで、道路のアスファルトに腹ばいになるような格好でクルマの下に手をつっこんで、黒いちびねこたんを取り上げるあたし。

みゃあ……みゃあ……

手の平サイズのチビねこたんはフワフワで、まるで生きてるぬいぐるみそのものだった。


父がクルマをちゃんと路肩に停め直すのを待って、ねこたんを胸に抱いて車内に戻ったあたしは、猫カフェに行ったらあげようと思って持ってきていた“カリカリ”――つまり、ねこたんのドライフードを何粒か手の平に乗せて、黒チビねこたんにあげた。

すると、よほどおなかがすいてたのか、小っちゃなカラダには不似合いなくらいの旺盛な食欲でカリカリに喰らいつくねこたん。
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