恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

「ふふっ、くすぐったいよぅ♪」

ねこたんがカリカリを食べるとき、あたしの手の平まで舐めてしまうんだ。



にゃあー……



……と、そのとき、また別のねこたんの声が聞こえてきた。

声のしたほうを見ると、路肩の植え込みの中から、片目ウインク状態の黒いオトナのねこたんがヒョイっと姿を現した。


「え……!?」


その瞬間、あたしは“デジャヴ”を見たのかと思ってしまった。

だって以前、駅前の中央分離帯の植え込みの中から助けたねこたんも黒ねこで、おまけに片目ウインク状態だったから。


まさか、あのときのねこたんが、誰かに拾われて名古屋で飼われてたりして……。

いやぁ、それはさすがにないと思う。

黒ねこなんて、それこそ日本中どこにだっているはずだ。他猫の空似ってヤツ?


< 189 / 205 >

この作品をシェア

pagetop