恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
黒チビねこたんの親なのか、カリカリの美味しいニオイに釣られて姿を現したんだろうと思うけど、とにかく片手にチビを乗せたまま、もう片方の手にカリカリを乗せて黒ねこたんに歩み寄るあたし。

「おいで♪ キミにもあげるからコッチにおいで~♪ こわくないよ~♪」

でも、さすがにオトナのねこは用心深いのか、直接あたしの手からは食べようとしない。

だから歩道の端にパラパラと蒔いてあげると、恐る恐る近づいていって、クンクンとニオイをかいでから、ようやくカリカリを食べはじめるウインクねこたん。


しばしその場にしゃがみ込み、ウインクねこたんのモーレツな食べっぷりを見ていたあたしは、やがて食べ終わったねこたんに……、

「にゃあ♪」

……と、ねこ語で話かけてみた。

すると、ねこたんのほうも“にゃあ”と返事をしてくれた。

“おなかいっぱいになってよかったねぇ♪”と伝えるつもりで……、

「にゃあ、にゃ~♪」

……と、またねこ語で話しかけると、今度もねこたんは“にゃあ”と返事をしてくれて、あたしの足に擦り寄ってきた。

ノドに手をあてると、ご機嫌な感じでゴロゴロ鳴ってる。
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