恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
胸に抱いたままだった黒チビねこたんのノドもゴロゴロ状態。
この2匹って、けっこー人間に慣れてる感じ? もしかして飼い猫だったのかも。……ってか、ひょっとして猫カフェにいたねこたんかもしれない。
「ねこも満腹になったことだし、そろそろ私たちも食事に行こうか?」
クルマの中から父が声をかけてくる。
「う、うん……」
だけどスッカリねこたんたちになつかれて、なんだがその場から立ち去りたくない気分。
たぶん……ってゆーか、もはや完全にねこたんたちに情がうつってたんだと思う。
気がつくと、黒いオトナのウインクねこたん、そして手の平サイズの黒チビねこたんの愛くるしい姿がにじんで見えていた。
ねこアレルギーで出た涙と、別れを惜しむ悲しみの涙が交じり合った涙だった。
「一子、行くわよ。母さん、さっきからおなかがグーグー鳴ってるのよ」
別れをせかせる母さんの言葉。
「………」
情がうつったねこたんたちとの別れは辛い。