恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~



「つ、つ、つ、付き合うぅっ!? せ、せ、せ、センパイが、あ、あ、あたしとぉっ!?」



声が思いっきり裏返っていた。



「心配すんなって。自分から付き合うって言い出したんだ。自分のぶんのチケット代くらい、ちゃんと自分で払うからさ。な?そんならいいだろ?」



「…っ!?」



あたしはヒトに何かを頼まれるとゼッタイ「イヤ」って言えないニンゲンだ。

もっとも、大好きなセンパイにこんなふうに言われて「イヤ」なんてゼッタイ言うわけないし。

あたしはこのとき、ヒトに頼まれると「イヤ」って言えない体質に生まれてよかったと、生まれてはじめて思った。



数秒後……、



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