恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
心臓が止まりそうなくらいビックリしたあたしが、首をすくませて振り向きながら、頭の上を見上げると、そこには左目に“眼帯”をしたイケメンの顔があった。
「あ、あなた、あのときの……」
「……って、誰かと思ったら、そーいうお前はあんときのねこアレルギーオンナ」
こないだはちょっとホスト風の高級そうなスーツを着てたけど、今日はGパンにカジュアルな感じの薄い春モノのジャケット姿だ。
それにしても、このヒト、いつの間に!? 足音なんて全然聞こえなかった……。
このヒトは忍者? それとも、ねこ?
「うぇ~んっ!」
あたしはそのヒトがどこの誰だか知らない。
もちろん名前も。
だけど顔は知ってる。
たぶん……多分、ひとりぼっちで心細かったあたしは、知ってるヒトの顔を見て、ひどく安心してしまったんだろうと思う。
気がつくと、そのヒトの胸に飛び込んでた。
けど別に誰でもよかったわけじゃない―――