あたしの好きな人【短編と名乗っていい頁数かな?】
そうして、何を思い出したのか喉の奥でククッと笑う。


「おとなしくって、物静かで、まだ誰にも見つかっていない、俺だけが知っている山奥にひっそりと咲いている可憐なお花ちゃんって感じだったなぁ。」


「………お花ちゃんって!」


それって絶対に男性を表現する時に使わない比喩表現じゃない?


「んんー。
でも、あん時の美樹を表すのにそれ以上にぴったりの言葉って思い付かねえな。
俺だけが知ってる深窓の姫君、みたいな?
そんな感じの印象だったし。」


深窓の姫君?


ますますヨシ君のイメージから離れるような言葉を聞いてしまって、あたしは混乱したまま瞬きを繰り返す。
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