あたしの好きな人【短編と名乗っていい頁数かな?】
「………か?」


あたしの頭の上をみぃちゃんの低い声が滑り落ちるように通りすぎていく。


「え?
ごめん、聞いてなかった。
何って言ったの?」


つい、と顎を上げてあたしは聞き返した。


「んー?
高等部の美樹のトコに今から顔出しに行くけど、一緒に行くかって聞いた。
一応、保護者同伴だから中等部の制服のままでも行けるぜ?」


………あたしがやりたい事なんて良く解ってて。


校則で、中等部の生徒が正当な用もなく高等部に入り込んじゃダメって決まっている事も熟知していて。


それでいて、さらっとそんな切り札を出してくる。


………やっぱり、悔しいけどみぃちゃんにはかなわないなぁ。


悔しいけど、ね。
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