エリートなあなた2
冗談抜きで不意打ちでは痛いのだ。遠慮がちに隣に座る視線を絵美さんへ送ったところ、
「ハッ!思いっきり殴れば痛いのも当然でしょ?
大体ねぇ、人の話を聞かないアンタが悪いのよ!」
まだ怒りが収まりきらないのか、うんざりした表情でジョッキを傾けている。
「……ハハ、それはすみませんね」
その女王様ともいうべき言い方と態度には、昔から苦笑いを浮かべるのみだ。
「はあ?アンタやる気?」
「滅相もない――はい、続きからお願いします」
そんな俺の態度に非難の目と声を向けるものだから、大人しく白旗を上げた。
するとテーブルから誰かが注文したらしい冷えたフライド・ポテトを取って、口へ放り込むと咀嚼を始めた彼女。
その姿はどこか野性的で、男より迫力も凄みもあるのだから恐ろしい。
ますます女にしとくのが勿体ないのは、絵美さんのことだな――