エリートなあなた2
必然の出会い
絵美さんの相談と愚痴にまみれた飲み会から数日後――伊藤部長に呼ばれて向かった先。
それは自社ビルの最上階にある、役員室が勢揃いする部屋の一角であった。
「どうされたんですか?」
「ん?いやぁ、気分が良いのでな」
その部屋にはマホガニー色の高級デスクの手前に、ブラックの高級革張り2人掛けソファが2つ対面して設置されている。
ソファを挟んだ応接テーブルに置かれたコーヒーカップを手に取り、当初から嬉々とした顔でずっと俺を捉えていた彼。
秘書が出してくれたコーヒーを少し口に含んだのち、またそれをテーブルへ置いた。
すると前傾姿勢に変わった部長の表情が切り替わった。
「――承認されたぞ」と、短くその一言だけを発する彼に大きく目を開く。
「……本当ですか?」
「おいおい、ここまで呼び出して冗談を言うわけないだろうが」
今度はソファへ背を預けて仰いだ彼は、くつくつと楽しそうに笑っている。