エリートなあなた2
さらに俺も何度か訪れたことのある本社に所属するメンバーは、SJピラミッドの頂点に君臨する者たちだ。
エリートのみで編成された試作部は、もちろんCEOご自慢の最新鋭の設備と施設が大きなラボとして存在していた。
――そこから俺なんかにお呼びがかかるとは、一体どういうことだ?
「……黒岩くん?」
「あ、いえ、すみません」
俺の閉口によって役員室は静寂に包まれていた。向かいの伊藤部長に頭を下げて非礼を詫びる。
「取りあえず、いつ行けそうだ?」
「そうですね、まずは1ヶ月以内で調節して少し伺いたいと」
チケットを予約してすぐ飛ぶことは簡単――だが、時間を空ける方が今の状況では厳しいのが本音だった。
「分かった。アッチへは自分で連絡するよな?」
「はい、ありがとうございます」
端的な返事を聞くと立ち上がった彼。奥のデスクチェアへ向かう姿に背を向け、俺もドアへ進んだ。