エリートなあなた2
「イヤミかしら?」
だがしかし、この人の笑顔はなぜ、これほどの迫力を備えているのだろうか?
腕を組んで放たれたひと言は、“ふざけたこと抜かすんじゃねえよ”としか聞こえない。
苦笑を返したところで振り返った彼女は、「打合せしてるわ」と前方の女性社員へ優しい声をかけた。
あまりにテンポが早く要領よいその姿を、むしろ清々しく感じていると。
その絵美さんが向き直って首で示した、秘書課内にある奥の部屋へ進むことに。
ドアを開けて中へ入ると、簡素なテーブルと椅子数個だけのそこで手前の席に腰を下ろした。
同時にバンとドアの閉まる音を背後で感じ、またたく間に向かいの席へ手帳類を携えて来た絵美さんが席に着く。