エリートなあなた2
おまけに「使えねえな」と、チッと盛大な舌打ちをまでお見舞いされるとは……。
黒い秘書課の制服に身を包むその姿は、まるでモデルだと評判なのに。これでは羊の皮をかぶった狼そうろうではないか。
秘書課の女性たちはこの本性を、……知るわけないな。さっきの様子を思い出し、ひとりでそう結論づけてしまった。
「ところで彼女、……吉川さんはあの子だよね?」
「そうそう、可愛くて綺麗でしょう?」
身体を後ろへ向けてから、クリア窓のついた入口ドアから見える女性を指さす。
その先にはセミロングの髪を下ろした、社内ではまだあどけなく見える女の子。そして絶賛の答えが背後からは返ってきた。
「……人事部の係長から情報は仕入れ済みですよ」
「どういうことを?」
振り返った俺の発言を聞くなり、目の色を変えて真顔に戻った彼女。