エリートなあなた2
――それだけで彼女の言わんとすることが分かった。そして納得してしまった。
いつしかルックキラーの眼差しは俺を通りすぎ、ドアの奥へと向かっている。
「せっかく仕事が出来るのに。……多分、このままいくと私以上に」
吉川さんという子には強気な絵美さんにここまで言わしめる、“何かが”存在するのだろう。
ただし、どんな仕事にしろ、理想と現実のギャップがあるのは致し方のないこと。
あっさり希望が叶ったりまかり通るほど、世の中は甘くない。
たとえ希望が叶ったとしても、その場にずっと留まれるという保証などない。
それが社会に出るということ、社会の波にもまれるということだからだ。
もちろん夢に向かって邁進していれば、それを不条理と捉えたく気持ちもよく分かるが……。