エリートなあなた2
燻ぶる、何か
かなり美人だけど仕草が可愛い、と周囲から騒がれるのもこれは仕方がないだろうとも。
――ただこの時点では、単純に見たままの印象が残っただけで。
「あの、営業部長はご不在でしょうか?」
「打合せが長引いてるらしいよ?」
壁から離れて席へ戻ってデスクチェアを引くと、窓から背を向けて腰を下ろして彼女の大きな目を見た。
「では、すみませんが、こちらを阪本先輩から預かっておりますので、お渡しいただ」
「――良かったら、少しだけ話に付き合ってくれないかな?
あと10分って言われても、ひとりで待つのは暇なんだ」
「……え?」
さっさと渡してこの場を早く逃げたがっていると、もちろん分かっていた。
困惑気味の可愛らしい声を畳み掛けるように、でも穏やかにお願いしてみせた。
やはり彼女には打つ手立てがないらしい。目の前のチェアデスクに座って向き合うことに成功する。