エリートなあなた2
「理工学部出身らしいね?」
「え!?あ、は、はい」
“なぜ知っているの?”と、目を白黒させながらコクンとひとつ頷いてくれる。だがしかし、何か釈然としなかった。
そんな感情からなのか、トントンと指先でデスクを叩いていた。それがまた彼女に、ビクビクさせる材料を与えたらしい。
「――吉川さんって、何のために入社したの?」
「……え、と、」
「遠慮する必要はないよ?」
突然の問いかけには耐えきれないと言うように、ついに視線を逸らされてしまった。
それが心の内を指摘された時、……SJ社へ入ったばかりの頃の自分の姿にふと重なった。
「さっきの吉川さんの目、……俺が入社した頃と一緒だったんだ」
「どういう、」と、ようやく顔を上げた吉川さんはそこで口をつぐんだ。