エリートなあなた2


これで吉川さんの件は無事片づいたからと、絵美さんには後日連絡をしてすぐに彼女への危惧は頭から去っていた。


――何より他人のアドバイスを聞き入れても、自分の意思がなければ変われないのだと。


まして自身の本社行きの問題と、新たな課の新設に向けて話が本格化し始めた状況で、試作部のこと以外はとても考えられなかった。


 * * *



「……まず開発に時間を割く時間が足りないですね」

「ああ、何よりデータが一本化されていないと、」

部署内に課が新設される旨を試作部の全体会議で部長が正式発表したのは、それから3週間後のことだった。



「なるほど。他はどうだ?今のうちにすべて洗い出そう」

そのため伊藤部長を中心として、各課の課長と係長が時間の許す限り課題を出し合っていく日々が続く。


バタバタする環境ゆえの問題が次々と出ては、それを新たに発足する課にはぜひ解消して欲しいと期待する各々。


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