エリートなあなた2


周囲が少しざわついたのもまた、隠せなかった本音だろう。……検討も何も、とても現時点で手いっぱいだと。


新たな課はすべての状況を把握しなければならず、常にスピードと決断力が求められることになるのは明白だった。


棘の道ともいえる地へ志願するほど余裕がある者は、現時点で皆無であったと思う。


そうして今日も白熱した会議は終わり、立ち上がったメンバーがそれぞれ戻っていく。


その流れに逆らった俺が向かったのは、会議室の中央で耳を傾けていた部長だった。


彼に話があると告げたところ、役員室が連なる最上階へ行こうと誘われて2人で向かう。


エレベーターが最上階へ到着して部屋へ通されると、時刻は既に21時を過ぎていた。


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