エリートなあなた2


もちろん迷いがなかったか、と尋ねられれば嘘になる。だが、同時に俺の元へ舞い込んだ2つのチャンス。


――日本支社の発展の力になるか、または本社へ行って研鑽を積ませて頂くか。


どちらへ向かうのがベストな道かが分からず、自宅へ帰ってからもずっと迷っていた。


だが、しかし。先ほどの会議での部長の顔を見て、揺らいでいた心はしっかり固まった。


――俺にもまだ出来ることがあるのなら、尊敬する伊藤部長の助けになりたいと。



「……それで君は、本当に良いんだな?」

「もちろんです。自分にとってベストの答えです」

暫くの沈黙を破った部長の最後の問いかけに、俺はもう何の迷いもないと目で訴えた。


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