エリートなあなた2
そこでようやく破顔した彼の答えが良いものであると、すぐに察しがついた。
「本当にキミは昔から、言いだしたら聞かないな」
「フッ、……部長のご指導の賜物です」
「おっ、そうか?」と、いつも通りに軽快に笑った顔を見ながら安堵してしまう。
ただひとつ――今後も問題は山積している。むしろ、俺が選択した道を行く方が……。
「部長、……もしも何かあった時は」
「――そんなことは気にしなくて良い。何かあっても“私”がいるだろうが!
ひとまず本社へ行くのは、……えーと1週間後だったか?」
「はい」と頷いた。彼の言う通り、本社へ向かうのはちょうど1週間後に迫っていたのだ。
「それなら、向こうで怒られる準備と覚悟をしておけ。
――もちろんマネジメント課の引継ぎがある。後任は係長の矢崎くんにすべて頼んでおくこと。
それから構造課の課長として、今後のプラン作成や人選など全部キミに一任する」
「ありがとうございます」
立ち上がって深く一礼しながら、この人の懐の大きさにまた今回も感謝するばかりだった。