エリートなあなた2
1人の女性に翻弄される出会いがあるとは、この時の俺はまだ知らなかった――
* * *
その日の仕事終わりは珍しく飲み会が入っていた。
というより、早く帰れるのなら来いというお達しメールが入ったため、オフィス近くの居酒屋へ徒歩で向かった。
酒を飲んでガヤガヤうるさい店内へ足を進めると、見慣れたヤツらの集合体を発見する。
座敷のそこへ靴を脱いで上がれば、大学時代の後輩から差し出された新しいビールジョッキを受け取った。
開始から2時間以上経過している現在。俺の到着に気づいてくれたのはチラホラだろう。
もちろんその方が気楽に飲めてホッとする、と壁際の片隅でひとりアルコールに口をつけた。