エリートなあなた2



1人の女性に翻弄される出会いがあるとは、この時の俺はまだ知らなかった――


* * *


その日の仕事終わりは珍しく飲み会が入っていた。

というより、早く帰れるのなら来いというお達しメールが入ったため、オフィス近くの居酒屋へ徒歩で向かった。


酒を飲んでガヤガヤうるさい店内へ足を進めると、見慣れたヤツらの集合体を発見する。


座敷のそこへ靴を脱いで上がれば、大学時代の後輩から差し出された新しいビールジョッキを受け取った。


開始から2時間以上経過している現在。俺の到着に気づいてくれたのはチラホラだろう。


もちろんその方が気楽に飲めてホッとする、と壁際の片隅でひとりアルコールに口をつけた。


< 5 / 42 >

この作品をシェア

pagetop