エリートなあなた2
だが、隣の空いていた座布団へ豪快に座った人物が、ジョッキを片手に話しかけてくる。
「ちょっと修平ー、アンタまた伊藤部長が言ってたわよ。
なんでも口煩いクライアントを黙らせた挙句、尻尾も舞いて帰らせたとか?」
「黙らせたって、…大袈裟な」
ジョッキとともに現れた絵美さんが発した、あまりにほど遠い言葉に苦笑しか出ない。
俺はただ自分の仕事をこなしただけで、単純に部下のヘルプをしたにすぎないから。
彼女の言うように、クライアントを黙らせたりはしていないと思うが…。
すると嫌味たっぷりな舌打ちとともに、平手で容赦なくバシッと頭を叩かれた。
音が軽快に響いたこれは暴力だと思う――男に対してまったく遠慮なしである。
「いいザマ。なーにが大袈裟なーよ!あー、いけ好かないヤツ!」
ヒリヒリ痛む頭を軽く擦りながら、チラリとこの痛みの犯人に目を配った。