エリートなあなた2
「……吉川 真帆?」
「そうそう。私の可愛い後輩ちゃんの名前」
俺の返しに淡々と頷くと、彼女が手を離さないビールジョッキの中身は順調に減っていく。
新入社員の吉川 真帆――それは人事部の同期が相当な美人だと随分騒いだ女性だ。
外見云々も俺には関係ない話だと、ほとんど話は聞いていなかったが。
試作部希望者の中、断トツの成績を収めながら秘書課へ配属された子だと結びついた。
「……で、その彼女が?」
話の続きを催促するように、今もビールを煽っている絵美さんに尋ねた。
俺は正直言って、美人に興味が無かった。……いや、避けていたけど――