あの日の空を,もう一度…
しばらく話していると,母が葵と愛結に目で合図をした…
ような気がした。
それと同時に,二人は帰ってしまった。
「また明日も来るから」
そう言って,ドアを静かに閉めて出て行った。
「ねぇ,そう言えば私ってさ…」
『どっか悪かったの?』
言い切らないうちに,母の言葉が遮った。
「あ…寒くなってきたね。
えっと…エアコン切っとくね…?」
急に余所余所しくなった母。
明らかに不自然。
妙に挙動不審だし,さっきから噛みまくり。
このままでは拉致があかないので,私は思い切って踏み出した。