あの日の空を,もう一度…
#05 残酷な幸せ
≪葵Side≫
【幹元家】
ピンポーン…
インターホンを押すと,ガチャッという音と共に愛結が姿を現した。
目が,赤く腫れている。
きっと,愛結も夜中まで泣いていたのだろう。
私と,同じように。
「おはよう…,葵」
「はよ…」
挨拶だけ交わすと,沈黙が私たちを包んだ。
「行こっか…?病院」
重い口を開くと,愛結は黙って頷いた。
病院へ向かう足取りは,誰かが足を掴んでいるかのように重かった。
【総合病院】
「失礼します…芽依美…?」
重いドアをゆっくり開くと,ベッドに座っている芽依美と目が合った。
が,芽依美はすぐに目を逸らした。
「…」
なんと声をかけて良いかわからず壁際に突っ立っていた私たちに,芽依美は声をかけた。
「来てくれたんだ」
此方を見て,笑って言った芽依美。
あまりにも悲しそうな笑顔だった。
「あ…うん。体調どう?」
愛結は,言ったあとで,『しまった』という顔をした。