あの日の空を,もう一度…
#06 強さと支え
≪芽依美Side≫
どうして,私がこんな目に遭わないといけないの?
私が悪いの?
悪くないよね?
じゃあ,どうしてなの?
私が悪いんじゃないのに-…!!
こんな病気に罹った自分が嫌い。
葵たちに冷たくしちゃう自分も嫌い。
もう,嫌だ。
「まだ発症はしてないですからね,薬で発症を遅めながら治療していきましょう」
そう言ったのは,眼鏡をかけて顎に髭を生やしたオヤジ。
まあ,要するに医者なんだけど。
「はい」
私は応答したが,恐らくオヤジには聞こえていない。
それぐらい小さな声だったってこと。
でも,私ははっきりと聞いたよ。
『発症を遅めながら』って。
遅めてどうすんのよ?
どうせいつかは発症するんでしょ?
だったら…
さっさと発症させて楽にしてよ。
そんな考え方をしちゃう自分も,
大嫌い。