あの日の空を,もう一度…

今日は,九月八日。

入院していた私は,みんなより一週間遅く新学期を迎えた。


いつもは三人で騒いでる登校も,今日は一人。

『今日から』って言ったほうがいいかな。


私が今日学校に行くことは,クラスメートはもちろん,葵たちも知らない。


一人ぼっちの道は,いつもより長く感じた。



ガラッ


教室の話し声がピタリと止む。


沈黙…


みんなは,目を丸くして私を見ている。


葵や愛結も,その一人。



みんな…

私がHIVだって知らされてるのかな。


怖い…!!



「芽依美じゃーん!!!超久しぶり!!」


「…へ?」


「一週間何してたのぉー??」


「夏休み終わったの気付かなくてダラダラしてたんじゃねーの?笑」


「待ってたんだよー!」


「心配したんだからー!!」



私が相槌を打つ間もなく,あちこちから声が飛んでくる。



…みんな,まだ知らされてないみたい。


安心した。



いつも通り,やっていける。


そう思った。


…この時までは。

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