あの日の空を,もう一度…
「あー…
ちょうど良い機会だからみんなにも伝えておこう。
実は吾妻は…」
「!!!??」
ちょっと!!
まさか,言うつもり!!?
お願い,言わないで-!!
私の願いも虚しく,ジジイは続ける。
「吾妻はこの夏休み中に,
HIVに感染していることがわかったそうだ」
ざわっ…
クラスがざわつく。
中にはヒソヒソ言っている子や,ジロジロ見てくる奴もいた。
「だが,日常生活に支障はない。
空気感染もしない,とても弱いウィルスなんだ」
…なに?
ウィルスって。
私のこと?
私を,病原菌みたく呼ばないで。
好きでなったわけじゃないのに!
誰も私の気持ちなんか分かんない…!!
「みんな,これからも助け合っていくように!」
ふざけんな。
助け合うことなんか,無理に決まってんじゃん。