あの日の空を,もう一度…

「あー…
ちょうど良い機会だからみんなにも伝えておこう。

実は吾妻は…」


「!!!??」


ちょっと!!

まさか,言うつもり!!?


お願い,言わないで-!!




私の願いも虚しく,ジジイは続ける。



「吾妻はこの夏休み中に,
HIVに感染していることがわかったそうだ」


ざわっ…


クラスがざわつく。



中にはヒソヒソ言っている子や,ジロジロ見てくる奴もいた。



「だが,日常生活に支障はない。
空気感染もしない,とても弱いウィルスなんだ」





…なに?

ウィルスって。


私のこと?


私を,病原菌みたく呼ばないで。


好きでなったわけじゃないのに!


誰も私の気持ちなんか分かんない…!!



「みんな,これからも助け合っていくように!」



ふざけんな。


助け合うことなんか,無理に決まってんじゃん。



< 21 / 63 >

この作品をシェア

pagetop