あの日の空を,もう一度…
【END】
映画館のスクリーンに大きく書かれた文字。
まわりは明るくなり,ちらほら帰る準備を始める人もいる。
私たちは,無言のまま席を立った。
「映画…おもしろかったね」
私が言った。
愛結は泣いていて反応しない。
「私も…いつか逝くんだよね,たぶん…そう遠くはないかな」
そう言ったのは芽依美だった。
パン!!
え…?
突然,横から乾いた音が。
「痛っー!何すんの?!愛結!!」
芽依美が赤くなった頬に手をあてて言った。
どうやら,愛結が芽依美にビンタを御見舞いしたらしい。
普段は絶対に手を出さない愛結が。
「…今,なんて言った?
簡単に死ぬとか言わないで!!」
言いながら,愛結は芽依美に抱きついた。
「…ゴメン」
芽依美は,愛結の肩に顔を伏せて言った。
私は,二人の頭を,優しく撫でた。