あの日の空を,もう一度…
アンタなんかに何がわかる。
私はそのとき、急にその医者に対しての怒りが募ってきた。
「ふざけんなよ!!アンタ医者だろ!!?何のために医者やってんだよ!!人の命救うためじゃねぇのかよ!?医者だったら…芽依美のこと助けてよ!!」
私は、医者が身にまとっている白衣の襟をつかみ、力任せに叫んだ。
こんなことして何になるとか考えてなかったけど…
今はただ、どうにもならない絶望感を医者に訴えるしかできなかった。
医者は、黙って私をみつめた。
私は、目を合わせるのが嫌で下を向いた。
「葵ちゃん、もういいのよ」
芽依美のおばさんが、私の肩をそっと抱き、宥めてくれる。
【もういい】
おばさんの発した諦めの声が、寂しく響いた。
どうすることも出来ない、
苦しんでる芽依美を救うことすら出来ない自分が悔しくて、さらに涙が溢れてくる。
どうして私は、こんなにも無力なんだろう。
自分の大切な人ひとり守れないなんて。
情けない。
悔しい。
もどかしい。