あの日の空を,もう一度…
「葵、ちょっと」
部屋にいると、母に呼ばれた。
「何?」
「愛結ちゃん家に、届けてあげて。お母さん遅いらしいのよ」
そう言って渡されたのは、タッパーに詰められた煮物。
「うん、わかった」
「気をつけてね」
私も愛結の様子が心配だったので、夜の道を自転車で急いだ。
【幹元家】
ピンポーン…
出ない。
ピンポーン…
出ない。
そっと、ドアに手をかける。
開いた。
「愛結ー?」
返事はない。
急に、恐ろしいほど不安になった。
「愛結っ!いるの!?」
電気もついていない。
私は二階の、愛結の部屋へ駆け込んだ。
入るなり、電気のスイッチを押した。
「愛結!!」
暗い部屋が、一瞬で明かりに包まれる。