Heaven


さくらを傷つけた張本人は、飄々と美加と仲良く登校し、何食わぬ顔で前の席に座っている。

もう少し、心配してあげてもいいじゃないか、と不満をぶつけようとしたが、ヒカルが自分自身で気づかなくては意味がない。

だけどさくらが心配だ。連絡先が分かればいいのだけれど、それが出来ないから余計困難だ。


『はぁ…』


溜め息を漏らし、ちらりと美加を見る。
美加はいつもと雰囲気が違う。
髪を巻いているからだろうか。
化粧がいつもと違うからだろうか。
いつもより可愛く見える。

ふと胸元を見ると、俺とのペアネックレスは当然のようにない。
それもそうだ。
俺たちは別れたのだから、つけるはずがない。

そんな光景を見ると悲しくなってしまう。
別れをまだ俺は受け入れいないからだろうか?

また、苦しくなるのだ。

俺はすぐ視線をずらして、前を向く。


すると時計の針がひとつ先に進んだ。


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