Heaven
誰だ?と思い、俺は顔を上げる。
そこには暗い顔をしたヒカルが立っていた。
『…なに?』
『ごめん…俺…』
今更謝られても今の俺には受け取ることが出来ない。
それに謝るならまず、さくらに謝って欲しい。
さくらが一番傷ついているから。
『謝んならさくらに謝れよ。俺は聞きたくないし』
冷たく言い放つ俺。
ヒカルは何も言えなくなり黙ってしまう。
この空気が一番嫌だ、と思い、俺はヒカルを残して今日から飛び出ていく。
下駄箱に行き、靴に履き替えて、早足で校舎をあとにする。
『なんだよ…』
ヒカルのあの表情が頭の中から離れないでいた。あんな顔、見たことがない。
校門に近づくにつれ、校門にもたれかかり誰かを待っている一人の女の子の姿が見え始めた。
短いショートヘアの黒い髪の毛に、セーラー服。腕を組んで下を向いている。
俺は気にも止めず、その子の前を通り過ぎていく。
その時、誰かに腕を突然掴まれた。
『え?な、何!?』
掴んでいたのはあのショートヘアの子。
俺は驚いた表情をして彼女を見つめる。
『お前が坂井雅か?』
『そ…うだけど…』
『似てるな。陸《りく》に』