Heaven


春から飛び出した言葉は、俺が求めている言葉ではなかった。
そんな言葉にがっくりと肩を落とす俺。


『…苦しめ…る?』


ぎゅっと手を握りしめ、抑えきれない感情を出さないように自分を落ち着かせる。


『…もうこれ以上美羽を傷つけないで欲しい…美羽は辛いんだ…頼むから…』


下を向いて、なにかに耐えるかのように言う春。そんな春の姿を見ていたら、なにも聞けないでいた。


『俺は…ただ美羽が心配なんだ…』


入学式に出逢った時から恐れているんだ。
いつか、美羽はいなくなるのではないかって。
だから…心配なんだ。


『その心配が美羽を悲しませる。美羽、最近泣いてばっかなんだよ…雅の存在が辛いって言ってた…』


『それは…俺がりくに似てるから…?』


気の抜けたような口調で俺は春に言う。
春は下を向いたまま、首を下に振った。


もう一度聞いてもいい?教えてくれ。
頼むから─…



『りくは…今どこにいるんだ…?』


春はゆっくりと俺を見上げる。
瞳には涙を浮かべて。





『陸は…美羽を一人ぼっちにして死んだんだ…』


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