Heaven
でも俺はただ理由が知りたくて、美羽に近付き、美羽を傷つけ、美羽を泣かせ…
俺がしていることは優しさなんかじゃない。
ただのお節介なんだ。
無力だ、お前は。
こうこの強い風に言われている気がした。
『…もう美羽に…近付かないよ…』
俺は小さな声で…
消えてしまいそうな声で、下を向く春に言った。
本当はそんなこと思っていない。
だけど美羽のあの言葉が…俺を素直にさせないでいる。
《空の上には大好きな人がいるの》
きっと陸のことだろう。
《あたしの傷は癒えない》
きっと陸が死んだからだろう。
《こんな世界大嫌い。あたしはもっと先に行きたいの》
きっと陸が眠っているからだろう。
ねぇ、美羽?
俺…近付かない方がいいね。
美羽の心の中には、
陸が生きているから…
俺は陸に似ているから余計辛くさせちゃうね。
もう話しかけないから。
ごめん、ごめんね。