Heaven
電気が点いたのを確認し、カバンの中から携帯を取り出した。
時刻は夕方の5時を示している。
『そんなに経ったんだ…』
夢がなかなか醒めてくれなかったんだ。
内容は覚えていないが、苦しい夢だった。
夢にも美羽が出てきた。そして泣いていた。
やはり夢の中の俺は何もしてあげられることが出来ず、ただ美羽の涙の量を増やすだけ…
『…明日からどうすればいいんだよ…』
美羽と話したいから学校に行くという理由があったのに…
もう話せない。
誰か答えを教えて─…
『雅ー?』
するとドアの向こう側から父さんの声が聞こえてきた。
どうやら、出張から帰ってきたらしい。
俺は制服の袖で涙を拭き、ゆっくりとドアを開けた。
『…ん?なに?』
俺の目に飛び込んできた光景は、懐かしく、そして久しぶり、と感じさせるものだった。
『雅ー!!』
『雅兄ちゃん!!』