Heaven


一階のリビングに行くと、母さんと仲良く会話をしている遥斗が視界に入る。


『遥斗!久しぶり!!』

咲夜と晴夜の手を握りながら、遥斗に近づく。
俺の声に気がついた遥斗が、ゆっくりと俺の方に顔を傾ける─…


『久しぶり、雅』


遥斗は歳をとっても何も変わらない。
この優しい笑顔も、ずっと変わっていない。

遥斗の笑顔を見るたび、俺の心は軽くなっていくんだ。


久しぶりに見る遥斗は一段とカッコ良くなっている。
スクリーンで観るより、テレビで見るより何倍も。

ソファーに咲夜と晴夜を座らせ、俺も座る。


『今日は唯さんは?』


『唯は今日仕事なんだ』

今日は唯さんは仕事らしい。
そしてロケが全て終わり、今日は休みみたいだ。父さんも会話に加わり、現場であったことを話してくれた。


でも俺は楽しく聞くことが出来ずにいた。
どこかで美羽を考えている。

心のどこかで美羽を。

美羽の泣き顔が離れない。


美羽は…涙を枯らすことなく、毎日、涙を流しているんだ─…陸のために。



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