Heaven


もしかしたらヒカルがこの光景を見ているかもしれないと思い、俺はさくらを抱えて家の中に呼んだ。


『雅、朝っぱらから誰だ…よ?』


玄関には髪の毛が乱れ、寝起き姿の美月がいた。俺とさくらを見た美月は、目を丸くし俺たちを見つめる。


『わりぃ…さくらがさ…』


『さくらちゃん、ゆっくりしていってね!』


美月の顔つきが変わり、営業スマイルとなる。
この笑顔で何人かの女の子は落ちるのだ。
美月の得意技。

でも今のさくらにはそんな攻撃など効かない。
ずっと下を向いたまま、言葉を発さないでいた。

さくらを家に上がらせ、自分の部屋へと連れていく。


『汚いけど、ごめんな』

俺はそこまで綺麗好きではない。
かといって汚いのも好きじゃない。


さくらに座らせようと思い、さくらを見ると、さくらは天井に貼ってある青空の写真を見つめていた。

爺ちゃんが撮った、広く、青い、空を。

ずっと…

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