Heaven
俺は言ったのに。
今のお前ではさくらは無理だと。
でも何でヒカルはこんなにも心配した様子を見せるのだ?さくらに対して。
『…さくらはここには居ねぇよ?』
俺は本当のことを言う。こう言うとヒカルの体から力は抜け、その場に座り込んだ。
俺はただヒカルの行動の意味を探していた。
『なんでヒカルはそんなにもさくらを心配すんだよ』
『は…決まってんだろ?』
ヒカルは小さく笑い、顔を上に向ける。
額から流れる小さな汗が、雲の隙間から覗かせる太陽に反射し、きらりと光った。
また、体は金縛りになる。
『決まってる?』
『…あぁ、俺はずっとさくらを待ってたんだからよ』
こうヒカルは言って、前を向き直し、再び走りだす。
大きな音で響く、ドアの音。
探していた意味が、ようやく分かった。
ヒカルはさくらが好きなのだ…と。
でも何故上手く繋がらないのだろう?
その難しさが恋愛なのだ。
俺は空へと顔を向ける。
芽生え出す、熱い感情。
『なぁ、陸?俺…お前を超えてもいいかな?』